本『人類を不幸にした諸悪の根源』(副島隆彦・佐藤優)の要点整理
基本的な主張構造
問題視しているのはキリスト教そのものではなく、世界支配に利用された権力構造宗教・国家・金融・軍事が結びついた体制を批判している。
「諸悪の根源」とされるもの
ローマ・カトリック(バチカン)、イギリス王権+英国国教会(プロテスタント)
※教義の違いよりも「支配の道具として機能したか」を重視
なぜ「人類を不幸にした」とされるのか
「神の意志」「救済」を名目に以下を正当化してきた。植民地支配、奴隷貿易、異教徒弾圧、戦争、善を名乗ることで暴力に歯止めがかからなくなった。民衆に「いつか救われる」と信じさせ、現実の不正義を受け入れさせた。
近代世界における役割分担(副島的理解)
カトリック → 精神・思想・道徳の支配装置
イギリス(国教会)→ 金融・軍事・植民地による現実支配の完成形
→ 「神・金・武力」が一体化した構造が最も危険とされる
副島隆彦の思想的立場
「民衆の側に立つ」視点を自認
「救済は来ない」という現実直視を重視。
権威・超越的存在への不信が強い。
女神像を集める理由
女神像はキリスト教以前の世界観の象徴
農耕、出産、生命、大地、循環
※神教的世界観への対抗的シンボルとして位置づけられている
一神教と女神信仰の対比(副島的)
一神教は垂直的で、支配・上下関係、男性原理、
女神信仰は水平的=生命・大地、民衆的女神像は「別の人類史の可能性」の象徴
主張は分かりやすく刺激的だが物語化・単純化が強い。
実証的・学術的というより思想的・情念的で批判対象を明確にすることで説得力を出している
全体まとめ
宗教批判というより権力構造批判。キリスト教は「支配に利用された例」として扱われている。
女神像収集は思想的・象徴的行為、読者には距離を保った批判的理解が必要である。

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