タイトルからして、いきなり人間の弱さを突いてくる。
この本は、単に「嘘をつくのはよくない」という道徳の本ではない。人間には矛盾した性格があり、嘘でさえ、ときには自分を守るための手段になる。そんな人間の不完全さを前提に、どう生きていけばいいのかを考えるエッセイ集である。
目次には、
「『生き抜く』ために必要な知恵」
「この世のすべては善悪が交錯する」
「人間を創る仕事、汗の匂いのするお金」
「『人は人。自分は自分』という静かなる原則」
「自分だけが持っている特質とは何か」
「高齢を豊かに生きる技術」
といった言葉が並ぶ。
特に「人は人。自分は自分」という言葉が印象に残る。
他人の目を気にして、自分をよく見せようとする。人からどう思われるかを恐れて、言いたいことを言えなくなる。そうやって人は、自分自身から少しずつ離れていく。
だからこそ、「自分は自分」で生きる。
これは好き勝手に生きろという話ではない。むしろ、自分の無力さや人間の弱さを認めたうえで、他人の評価に人生を預けないということなのだと思う。
そして「高齢を豊かに生きる技術」まで話が進むと、単なる人生訓ではなく、老いや死を含めて「どう生きるか」という話になってくる。
人は怖いから嘘をつく。
人は弱いから迷う。
人は他人と比べるから苦しくなる。
それでも、「人は人。自分は自分」と静かに生きていく。
そんな、少し突き放しているようでいて、実は人間の弱さにかなり寛容な本なのではないかと思う。
「自分は自分」で生きると楽になる。
この言葉が気になる人なら、読んでみる価値がありそうだ。

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